やけあ〜と(Yake-art)

Yukko

やけあ〜と(Yake-art)
上のオレンジのボタンをクリックすると、
"やけあ〜と"がご覧いただけます。


第6回 < 幸運 >



検証が済み全員帰った後、

大事なモノを探すため瓦礫だらけの庭へ

勇んで行きました。

でも、山のように積まれたその瓦礫を前に、

暫し茫然と立ち竦みました。

何から手を付けていいやら…

いつになったら全て片付くのかしら…

考えると気が遠くなりました。

検証の時、彼等が指摘していたあたりから、

ひょっとして大事なモノが出て来るかも…と、

でもあまりの有様を前にに期待薄で探し始めました。

しかしラッキーなことに、それらは一番最後に

下に落としたらしく、瓦礫のてっぺん近くに

あったので結構すぐに見つけることが出来ました。

大事なモノとは、貯金通帳や生命保険証書、

その他の書類、それと現金等です。



最初、黄色い物が目に付きました。

『もしや…!』と思ったとおり、しかもそれはほぼ

無傷で姿を現してくれました。

毎年年末はジャンボ宝くじをバラで30枚買うことに

しており、売場でくれた黄色い入れ物に

収めていたのです。

濡れて、泥も多少ついていたけれど、

中身の物は全く問題無い状態でした。

部屋の真ん中に置いてあったので、

絶対に燃えてしまったものと信じて疑わなかった

だけに、その喜びはこの上ないものでした。

…と同時に、『私はきっと億万長者!』と

言う考えが頭をよぎり、絶対、確実にそうなる…

と強く思い込んでしまいました。



次に、その黄色い物の側に茶封筒の片隅部分を発見!

その中には貰いたての、?十万のボーナスを

入れてたはずなのです〜!!

心は先程よりも更に高鳴りました。

『でも…封筒もお札も紙だし、今度は半分以上は

燃えてしまってるだろうナ…』

茶封筒の片隅を掴み、ゆっくり引き出してみました。

ナント!殆ど燃えずにそれも姿を現してくれました。

はやる心を抑えつつ、中を調べると…、

万札の何枚かはその端が少し茶色く焦げていましたが

お金として十分に使える状態でした。

その後、貯金通帳や生命保険証書やその他大事な書類

を入れていたセカンドバッグも出てきました。

貯金通帳の何冊かは ATMには通らないだろうと

思えましたが、提出するには

十分把握出来る状態でした。

あと、火事前日に使用していたバッグに入れていた

財布も発見出来ました。

ただ、これは半分近くは燃えて無くなっていました。

その財布には、万札が5枚入っていました。

多少でも形があれば、銀行へ持って行くと

新しいお札に替えてくれて、

そして燃えカスも一緒だと更に有利…

と聞いていたので、そお〜っと取扱いビニール袋に

移しました。



少し落ち着いた約3週間後、

近所の銀行に持って行きましたが、

そこでは取り替える事は出来ないと言われました。

お札の面積が足りないとのこと…。

で、仕方なく指示通り“日本銀行”へ行くことに…。

生まれて初めて立ち入る場所。

友人2人とランチ後、私1人が行こうと思って

いましたが、彼等も日本銀行へは行ったことがなく

見てみたいとのことで3人で行きました。

入口にガードマンがおり、何の用か聞かれました。

建物内は、普通の銀行のようにカウンターが

ありましたが、高めのガラスで覆われていました。

カウンター内では他の銀行と同じように、

働いている人々が居ました。

でも…雰囲気が全然違う。

何か異様な感じ。

普通の銀行は、明るいし活気があるけれど、

日本銀行は、荘厳な感じはあるものの暗い感じで、

何よりも凄〜く静か…。

それもそのはず、お客が1人も居ない…。

それと、働いている人々も黙々と静か。

事情を話し、半分近く燃えた5万円が入った

ビニール袋を渡しました。

4〜5人が立ったままそのお札を取り囲み、

何やら話しているのが見えました。

…約10分待たされました。

果たしてその結果は〜!



5枚の内、4枚は面積が足りているとのことで

新札の1万円札4枚と替えてくれました。

最後の1枚は面積が足りず、半分の5千円。

樋口一葉の顔がちょっとヘンな新札1枚。

でも…思うに、どれも同じような面積だったし

ビニール袋の中の燃えカスが、

どのお札のどの部分かなんて素人目には

チンプンカンプン。

彼等にしても、ガラス越しに見えていたかぎりでは、

特別の機器を用いて調べていた気配はなかった…。

どこがどう他の4枚と違うのかかなり疑問でしたが、

とりあえずは、諦めていたのに4万5千円が、

しかも新札で手に入った訳だから…

『ま、いいか〜!』



前にも述べましたが、貯金通帳は全て新しくなり、

しかも把握し易く少冊にまとめてくれました。

生命保険証書は、濡れて汚れてはいたけれど

十分確認出来る状態で出てきたので、

再手続きはかなり簡単に済みました。

その他重要な書類も使える状態だったし、

他のモノは殆ど燃えてしまった中で、

燃えやすい紙で出来ている、

しかも大事なモノが助かった。

何とラッキーなことと嬉しくなりました。

まさに、不幸中の幸いです!!



“不幸中の幸い”と言えば、

他にも色々ありました。まず何と言っても…、

死人、怪我人が1人も居なかったこと。

私自身、火元の側で眠っていたけれど、

多分…深酒していなかったので早めに目覚め、

逃げる時間が十分あったことはラッキーでした。

それと、年老いた、半介護状態の母がたまたま

入院中だったことも幸運でした。

次に…、

その日は風が無く、火は上に登りご近所への被害が

全くなかったこと。

更に…、

離れではなく母屋と続いていたけれど、

そこから最も遠い所が火元だったので、

母屋は助かったこと。



…だから、

『宝くじは絶対に当たっている〜!!』

と、強く思えたのもお分かりいただけるかと。

ただ、世の中そんなに甘くはなかったですけどね…。



ホームへ
*** バックナンバー ***
2005年 5月第1回「プロローグ」
6月第2回「大惨事」
7月第3回「消火」
8月第4回「鎮火後」
9月第5回「検証」
10月第6回「幸運」
11月第7回「整理整頓」
12月第8回「後片付け」
ページのTOPに戻る