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「閑人料理」夏の一汁一菜

北窗閑人 竹端 章
目刺、100円
目刺、100円
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料理を始めたのは確か15,6年前だったと思う。
それまでもエンゲル係数は低い方ではなかったが
うまいものへの関心は今も変わらない。
評判のイタメシ屋があると聞けば馳せ参じ、
どこそこの豆腐がうまいと聞けば
少々遠くても買出しに行く。
そこでコレはうまいとかイマイチだとか
評論家よろしく粋がっていた頃が懐かしい。
恐らく知人、友人からは
顰蹙を買っていたにちがいない。

近年のテレビや雑誌の食ブームには目を覆うものがある。
まさに飽食極まれりである。
テレビのスイッチを入れれば
必ず1つや2つはグルメ番組をやっている。
最近は尾ひれがついて健康グルメである。
このグルメという言い方がよろしくない。
食を玩んで国を喪うことにならなければ良いが…。

元来「料理」とは
理(ことわり)をはかることだという。
食材の道理をはかること、
要するにうまいものをつくるには
必ず合理合法がいるのだ。
邪道はどこまで行っても邪道なのだ。
閑人の料理も正道を極めるには
まだまだ時間が要りそうだ。
その昔、一汁一菜の食事を極端な粗食のたとえとした。
うまくもない料理がたくさん並ぶよりも
心のこもった一汁一菜のほうが、
はるかに贅沢というものだ。

夏らしい献立をひとつ。

夏の一汁一菜
夏の一汁一菜
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汁はモズクの冷や汁。
上質のかつおだしに適量の酢、
醤油、具はもずくと茗荷の千切り、
ただこれを冷やすだけ。
菜は目刺。
できれば生きた鰯を風の弱い日に
天日干ししたものが最高だが
最近はおいしい干物も流通しているのでそれで十分。
目刺はあくまでも銀色であらねばならない。
炭火であぶるのがベストだが
ガスコンロでも遠火の強火で、あとは腕次第。
夏の夕方、いも焼酎を舌の上で
転がしながら焼きたての目刺をいただく。
香の物はナスときゅうりの一夜漬けがあればよい。
100円の贅沢な粗食である。



竹端 章 HP「陶工房 酔侯廬」
http://www1.kcn.ne.jp/~takebata/


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