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気は使い手が入れる

北窗閑人 竹端 章
「一壺天」会場
「一壺天」会場
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展の打ちあげを催した日本料理店「はやし」は
過去2度訪れたがとにかくうまい。
おそらく京都で屈指の料理人だろう。
素材、味、器、しつらえ…どれも一流。
至福の時を演出してくれる。
「気を入れる」、「魂を込める」など、ややもすると
ものを創る側は肩に力が入りすぎるのが常だが、
はやしさんは事も無げに言い切る。
「気はお客様がいれるのです。」御意!

書家竹田氏も「この書は喋りすぎている。」と
あからさまな作意を嫌悪する。
氏の書には観る側が気を入れる余白が残されていて、
それは実に心地よい。
「はやし」の懐石も同様。
シンプルであり繊細かつ奥行がある。
これ見よがしの創意の押し付けは客を白けさせる。
閑人のやきものはどうだろう。
工業デザイナーという素性柄、
過剰な作意が頭をもたげるが、
作陶はシンプルで美しいこと、使いやすいこと、
それに少々のエスプリを加味する。
決して過飾にならないように、
と心がけてはいるが言うは易しである。

「ずっと傍に置いておきたい感じ」
出展品の中にお世辞とはいえ、
嬉しい言葉を頂いた作品がある。

「一壺天」炭化焼締酒注 「一壺天」炭化焼締酒注(注ぎ口拡大)
「一壺天」炭化焼締酒注
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造形を少し抑えた焼締めの酒注だ。
柄と注ぎ口に白化粧を施して完成のはずだった。
しかし焼き上がってみるとどこか物足りない。
そこで口に線文を付加、
これが意外に洒落っ気を演出、
作品のイメージを大きく変えた。
これ以上手をいれれば
厭味なものになっていたであろう、
ギリギリのところだった。
数名の方から「この線が粋ですねえ…」。
益々やきものにのめり込みそうだ。
一週間という限られた時間であったが
多くの方々からご指導をいただき、
激励もいただけた充実した展になった。

最後になりましたが御多忙にもかかわらず
ご高覧頂きました皆様に厚く御礼を申し上げます。

有り難うございました。


竹端 章 HP「陶工房 酔侯廬」
http://www1.kcn.ne.jp/~takebata/


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2003年2月 第2回「やきもの三昧」生活陶芸のすすめ
2003年3月 第3回「壺中天有り」陶と書の出会い
2003年4月 第4回 二人展後談「気は使い手が入れる」
2003年5月 第5回「有酒人生何不楽」芋焼酎を味わう
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2003年7月 第7回「美味探索」スペインはうまいっ!
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2003年12月 第12回 閑人から陶人へ「秋の暮道はだんだん細くなり」
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