スローライフ讃歌

北窗閑人 竹端 章
小さな野草の寄植え(植え込み3年目)
小さな野草の寄植え(植え込み3年目)


縁あって貴重な紙面を戴けることになった。
4月、31年のサラリーマン生活にピリオドを打った。
といっても定年退職ではない。
言って見れば衝動退職(世間ではリストラとも言う)?
生来の計画性の無さの露呈である。
しかし退社してはや9ヶ月、
結構快適な毎日が続いている。
もともとライフワークにしていた陶芸や料理等、
飽きずに趣味人を気取っている。
ところが家人から見れば
少々の家事の分担こそあれ
無収入の上に結構かさ高い。
当然ながら不機嫌である。
それでも何とか折り合いをつけながらの生活、
そんな中、今までには無かった新しい快適や
充実を見つけることに事欠かない。
おそらく暇つぶしにしかならないことは自明だが
ご笑覧いただければ幸いである。

ルッコラの花
ルッコラの花
さて、連載ということだが
とりあえず好きなやきものや骨董、
酒や料理のことを
独断と偏見に満ちたこだわりで
斬りたいと思っているが、
サイトオーナーからの
「デザインを軸に」とのお達しでも
ある故、できればこれからの
モノづくりのヒントになるものも
盛り込んでゆきたい。
申し遅れたが専門は
プロダクトデザイン、
現役をはなれて久しいから
少々錆びてきてはいる。
お許し願いたい。

初回のテーマは「スローライフ」、
とにかく忙しい、慌ただしい日常生活を
潤してくれるのは緑。
それは高価で華美な洋花でなくてもいい、
いや、ないほうがよい。
野の草を身の回りに置き、親身に世話をする。
ゆったりした風が体の中を通りぬける。
小生は生まれながらの植物音痴、
世話や植え込みはもっぱら家人が担当。
閑人は花器や植木鉢の制作に余念が無い。
草木の色と釉の肌合い、
この二つが絶妙に一致した時、
緑が映え一層味わいを増す。
この時の快感には格別のものがある。

  焼締の鉢に鞍馬苔
焼締の鉢に鞍馬苔

破れ鉢にミントの根洗い
破れ鉢にミントの根洗い
  コダヌキランと一ッ葉ショウマ
コダヌキランと
一ッ葉ショウマ


ぐい飲みに実生のコナラとワイヤープランツ
ぐい飲みに実生のコナラと
ワイヤープランツ


盆栽作家加藤文子氏、那須の4代続く
盆栽一家に生まれ、現在、注目の人だ。
5月に作品を観る機会を得たが、
その卓越したセンスには眼からうろこであった。
機会あらば、是非一度ご覧頂きたい。
いい野草盆栽をつくるには経験と技術の上に、
それなりの時間と自然が欠かせない。
冬の間は庭に出して鳥が運ぶ種子の落下を待ち、
苔が芽吹くのをひたすら待つ。
しかし美しい時は一瞬だ。
ゆったりとした気持ち、草木たちへのいとおしみが
これからのスローライフの一助になるはず。
早速、道端に小さな草を見つけたら
小さな器に移して、テーブルの上に
置いてみるといい。
きっと明日からの生活が変わること請け合いです。

次回はやきものの話。


竹端 章 HP「陶工房 酔侯廬」
http://www1.kcn.ne.jp/~takebata/


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*** バックナンバー ***
2003年1月 第1回「スローライフ讃歌」草木盆栽のすすめ
2003年2月 第2回「やきもの三昧」生活陶芸のすすめ
2003年3月 第3回「壺中天有り」陶と書の出会い
2003年4月 第4回 二人展後談「気は使い手が入れる」
2003年5月 第5回「有酒人生何不楽」芋焼酎を味わう
2003年6月 第6回「古物礼讃」小さな古時計
2003年7月 第7回「美味探索」スペインはうまいっ!
2003年8月 第8回「蕎麦道入門」されど蕎麦猪口
2003年9月 第9回「閑人料理」夏の一汁一菜
2003年10月 第10回「閑人パン工房」土を焼かずにパンを焼く
2003年11月 第11回「用の器」無口な片口をつくる
2003年12月 第12回 閑人から陶人へ「秋の暮道はだんだん細くなり」
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