やはりニームは欠かせない かゆみの強い発疹には葉の茂るニームの枝でなでるように叩く。 軟膏も塗らないし、お薬も飲まない。 ニームを煎じたお湯で身体を拭くのは聞いたことがあるが、ここではいたってシンプル、 近くにある木から毎朝採ってきて子供達に配るだけ。 なでるだけでニームの殺菌作用が効くのかどうかは?? ニルマル・ヒルダイの患者さんのあいだに水疱瘡が流行った時に私は無事だったから、 恐らく小さい頃に罹っているのだろう、 子供達のそばで相当長い時間この魔法の杖を使うこととなった。 |
![]() 痒い湿疹をニームの枝でなでる |
完全菜食で毒気を追い出す 食のタブーが徹底している。 チキン、魚、卵はダメ、大事な蛋白源であるダール(豆のスープ)も 豆が湿疹の形をしているからダメ、マスタードオイルも使わない。 喉を痛めて体調よろしくなかった私がある日、 玉ねぎ・ニンニク・生姜をたっぷり炒めて食べたいと言ったら、 マザーは眉を上げて慌てた。 「材料をあげるから上のキッチンでやってくれ」と。 そうだった、根菜類や匂いのキツイものも、 厳格なヒンドゥーの戒律ではタブーなのだ。 毎食ご飯にサブジー(野菜料理)だが緑葉野菜は使わない。 そして常なら毎日とはいかない果物をたくさんもらい、 ミスティも(お菓子)。食べては寝るだけ。 少しよくなると、近づく試験が気になるのか教科書を開いたり、 絵を描いたりしていたが、まぁー蚊帳の中での行(ぎょう)みたいなものかも。 手伝いも細かなインド式を守らなければならない。 部屋に入る際はスリッパを脱ぐ、 決められた各自の皿に盛るときにはスプーン類を皿に直接当たらないように、 一つの部屋が終われば手を洗うなど。 子供たちが着替えた衣類には触れない、 マザーが洗い消毒剤で処理してからでないと。 |
周りもしきたりに従う しきたりを守るのは水疱瘡の子たちだけではない。 水疱瘡の子は3週間近く一切シャワーも浴びないが、 その他の子はシャワーOKだがシャンプーやオイル類は使えない。 菜食も全く同じ。いささか可哀そうにも思えるのだが、 みんな当たり前に従っている。 この一ヶ月は肉・魚類の支出は減っても、 毎日の果物代がかさむという次第。 |
落ちたかさぶたは集めて土に埋める 黒くなって落ちたかさぶたは、 それぞれマッチ箱に貯めていたのも可笑しげだ。 全快したらシトラの神様にお祈り(プージャ)して、 集めたかさぶたは土に埋めるという。 人を悩ませた湿疹のしるしを土に返し、 幸多き命をもたらすものとしての再生を願うのだろうか。 ともあれ、1月24日には全員行(ぎょう)から解放された。 その後一週間は菜食を続けなければならないのだが、 身体を洗い自由に飛び廻れる喜びでみんな目が輝いていた。 |
![]() 落ちた黒いかさぶたはマッチ箱に、そして土の中へ |
寒さに震えるのもあとしばらく コルカタの人々も「こんなに寒い冬は初めてだ」と。 朝晩6度くらいになっても暖房する家ははまずない。 これまで長袖下着やタイツなど出番がなかったのに、毎朝重ね着してしまう私。 足元も五本指のくつ下にゴム草履が定番だった。 街行く人も頭からすっぽりショールを巻いたり、 サリーを着るときにつけるブラウスを毛糸のものに替えたり、 それでも路上の子は毛糸の帽子に綿シャツ一枚で下半身裸だったり、防寒もさまざま。 デカイ調理鍋にお湯をはって入るSumiko風呂もこの冬は忙しくて楽しめず、 ホットシャワーの際のバケツでの足浴がやっとだった。 ヨガの奥義でも水浴びが身体には一番と言うし、 お湯など無縁の路上の人々に比べ何とやわなことかと思うも、 あぁー“無くても平気”でないものがまだ色々とある。 冬場のホットシャワー、トイレットペーパー、 日本からのペーパーフィルターで入れるブラックコーヒー、 醤油や米酢に味噌など……。 まだ7割くらいは日本人というところか。 やがてくる夏の暑さとうまく付き合いますから、 どうぞやわな日本人でお許し下さい。 |
![]() 防寒スタイルも足元は素足 |
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