42℃で停電したら?

4月19日、日中42℃、アスァルト道を歩いていると50℃くらいに感じる。
息苦しくまとわりつくような暑さ、午後5時に市内全域停電、
全域でというのは滅多にないことらしい。
エアコン付きの家庭やショップがフル運転させたのだろう、
電気の供給量が追い付かなくなったのだ。
自家発電機を持っているところはいいが、大抵の一般家庭にはない。
ここグプタ家も設置していない。電池でコンピューターは操作でるものの、
汗がしたたり落ち、頭も働かずであきらめる。
熱風をかき回すだけの気休めファンだが、これも動かないとなると室内にいるのは地獄。
市場をぶらり回って戻るとまもなく電気がついてヤレヤレ、6時半。
その2時間後、また停電。
買っておいた乾電池式のテーブルランプを出して「さてどうするか」と
気分も暗くなりかけてると、キランママが声をかけてくれて「屋上に行こう」と。
隣室にステイ中の朝美さんを誘って階段を上がる。
「おおーっ」なるほど涼しいではないか。
風が強くて、昼間の熱射がウソのように和らぎ心地よい。
しばらく星を数えたりしていると、ママが大きな敷物を持ってきてくれ、
次女のイシャと4人で寝転がった。
寝苦しい夜はこうして屋上で寝るのもいいかも、折り畳み式のビニールベンチを買うか、
でも風がないとどうなの? 蚊対策は? 
路上の子供がかぶせてもらってるような置き型のネットは? 
大真面目に屋上で寝る方法を練ったり、朝美さんの故郷が
どれほど山奥の田舎かを聞いていると、周りの建物に明かりが戻った。
もう10時だ。とりあえず部屋に戻る。昼間の熱がこもっている。
あーあ、首筋と背中のあせもが長引くかも。


あんな所で暑いのにハトが子育て。
トイレの扉の上部に、小さな黒い点が母どりの頭、ヒナを2羽育てている。
 

長〜く、熱〜い闘いなのです
この暑さのなかヒートアップしているのがインド下院総選挙である。
前回が2004年だから、私には初めて見聞きすることばかり。
“世界最大の民主主義国家のマンモス選挙”は気の遠くなるようなスケールで、
ゆったりと、そして少し馬鹿げている。
政党数300に所属する候補者4617人、有権者数7億1400万人、
投票は5回に分けて一ヶ月間(4/16〜)、83万近い投票所には、
電子投票装置が137万台‥‥(英エコノミスト誌)
ネルー以来長期に政権を握った「国民会議派」と野党第一党の「インド人民党」という
二大政党ともに、一党で過半数を占める力はもうなく、
できるだけ多くの地方政党と組まざるを得ない状況にある。
圧倒的な貧困層にしてみれば、インドの外交・グローバル化や経済発展よりも
自分たちの生活に直結した問題こそ関心の的となるから、
カーストや宗教のグループの利益に訴える地域政党が増えて票を得るということになる。
カネと脅迫は驚くに足りずらしいが。
国民会議派がマニフェストに“貧困ライン以下の家庭に、
35kgの米を1キロ3ルピーで配布する”と公言すれば、
人民党BJPは1キロ2ルピーで配布すると公約したり、
首をかしげる政策もあり、すべては貧困層からの票ねらい。
これとて、スムーズに指定米を手に入れられないのが実態らしい。



コルカタの選挙戦、政党の旗や看板がズラリ。右手の大きな写真はTMCのママタ党主


さて、コルカタの選挙戦。党のシンボルマークが入った旗、看板、壁ペイントが
いたる所に、無秩序に、何の規制もなしにというところか。
競い合うのは「インド社会主義マルクス主義派−CPI-M」と「草の根会議派−TMC」。
TMCを率いるママタ女史の写真が昨今やたら目につく。
例のタタ・モーターズが超低価格車“ナノ”を生産すべくコルカタ近郊の
シングール地区にほぼ完成させていた工場を他州に移転せざるを得なくさせた
“反対運動のリーダー”である。
正確に云えば、彼女は工場の稼働そのものに反対した訳ではなく、
州政府(CPI-M)が進めた強制的な土地収用政策に反対したのであり、
貧しい農家に保障や土地の返還をせよと叫んだのである。
CPI-Mにすれば、West Bengalの工業化と発展にブレーキをかけた敵である。
ママタ党主のTMCがどこまで勢いを増すのか、5月16日に出る結果が楽しみではある。
先日夕方の停電時に、グプタ家の前で涼んでいると、
多数の支持者行進の中ほどにママタ女史の乗った車が近づいた。
あまたの看板写真で見ていたよりは温和な印象で、口調も激しくはない。
そして支持者の女性たちの身なりから結構中流階層も多いのかなという感じだった。



TMCの痛烈なCPI-M批判看板。
コルカタのウイルスであるCPI-M党員たちを、TMC殺虫剤で追い払おうと。


キランママにインド選挙委員会発行のIDカードを見せてもらった。
1995年発行、写真と姓名、父母・配偶者名、性別、年齢が記され
West Bengalのシールが貼られたカードがラミネート加工されている。
投票所ではこれを見せ、党のシンボルマークと候補者名が記された画面で
ボタンを押す仕組みらしい。以前は、人の名前で勝手に投票するのが当たり前だったとか。
莫大な労力とカネをかけてのマンモス選挙、
私欲を捨てて真に国民のための為政者たらんとする志高き議員が、
一人でも増えますように。かすかな希望と願いをこめて。


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