影ながら日印交流の立役者

ニガム和子さん、偉い人だ。インド人と結婚して在住35年、
ラーマクリシュナ・ミッション(ヒンドゥー教系社会福祉僧団)の語学学校で
インド人に日本語を教えている。
コルカタ日本人会でもなくてはならぬ人、
日本総領事館の人々も頼りにしているキーパーソンである。
日本人会の催しで度々お会いし、彼女が音頭をとっているイベント
「印日文化祭」にも寄せていただくこととなった。
日本語を勉強しているインド人に発表の場を設け、
更なる学習意欲を高めたいとの主旨で、
23年間続けられている文化祭なのだ。
コルカタに居合わせている日本の若者らも一緒になって、
練習を重ねた踊り・寸劇・歌・楽器演奏を披露しあうという趣向、
飽きない2時間半であった。
イントネーションに多少のインド訛りはあっても、充分通じる日本語で、
とかく外国語音痴が自慢(?)の日本人はもっと奮起しなきゃと恐れ入った次第。


右がニガム和子さん。日本人会のバーベキュー大会で

でも、たった3年余りの在住で、手ごわい伝統楽器・シタールや
タブラの演奏を披露した日本人女性らも光っていた。
圧巻はトリで、水前寺清子の「炭坑節」を大音量で流しての盆踊り、
観客席の総領事や日本の若者も舞台に上がって踊り始め、
それはそれは盛り上がった。
私が誘ったボランティア仲間10人もノリのよさは抜群、大いに楽しんでくれた。
こんなところで水前寺清子のこぶしとだみ声に感激するとは
‥‥なかなかいいもんです。
インド最大財閥TATA社も対日戦略の一環なのか、
選抜社員10名ほどに日本語集中講座を受講させたとかで、
ニガムさん大忙しである。
ベンガリーと英語をこなして自在にコミュニケーションを広げる彼女に、
これからも現地事情をたくさん教えてもらいたい。
そのためにも、お引き受けしてしまった日本語学校の臨時講師を
まずはしっかり勤めあげねば。


炭鉱節でフィナーレ、「印日文化祭」で

薄暗がりで鯵が鯖に?

コルカタで海の魚はムリ、そう決め込んでいた私に
「鯵もマナガツオも鯖も手に入る市場がある」と教えてくれたのがニガムさん。
早速にステイ仲間の尚美さんと「鯖の味噌煮だ、鯖の味噌煮を作らにゃ」と
胸躍らせ出掛けた。メトロで2駅、Jag Bazaarには生鮮品の種類も鮮度も
目を見張る店々が並んでいた。
ただ夕方だったためか魚を商う店は半分ほどしか開いていなかった。
その中でやっと見つけた一軒に、鯵だー、鯵があった。
20cm強の大きさで一匹26円、とりあえず2匹を買い、3ルピーでさばいてもらう。
それに、半年のボランティアを終えてまもなく日本に帰る尚美さんのために、
出始めのマンゴーを3個。
鯵は塩焼きで賞味する。旨〜い! 次は絶対朝に行って鯖をゲットしよう!
翌13日、2時過ぎから延々停電、復旧する様子もなく、
本も読めなくなるとふて寝するしかない。
7時ごろ帰ってきた尚美さんの手に袋が、
「あの市場にもう一度行って鯖を買いました」と。
へぇー、遂に鯖? 細いローソク2本の明かりで料理開始。
切り身がやけに白いなと思いつつ、
秘蔵の味噌や生姜・酒を使って味噌煮の完成。口に入れる。
「うーん、上品すぎるな」と私。
「鯖ですよねぇ」と尚美さん。
「鯖ではないような、どうも、脂ののりも少ないし‥‥、いくらした?」
「1kgの大きさで120ルピーを100ルピーにしてくれました」
「結構高いんだぁ、でも新鮮で美味しいよねぇ、シアワセ」
8時半にやっと電気がつき、私はネットで調べてみた。
やっぱり鯖ではない。「ムロアジ」だろう、恐らく。
インド洋でも獲れるとあり、別名アジサバとも言うらしい。
写真で見るかぎり姿かたちが鯖に似てなくもない。
残りの切り身は翌日オリーブオイルで焼きレモンをかけて食べた。
いずれ鯖にもお目にかかれるに違いない。
それにしても、海の魚でこんなに幸せ気分を味わえるとは、日本人ですかねぇ。
とにかく、これでわざわざ重いサバ缶を
トランクに詰めて持って来なくてもよいのだから大いに助かる。
インド南部では海魚が当たり前らしいが、ベンガル人はとにかく川魚一辺倒、
いつか日本風の調理で仕上げた鯖や鯵を、
キランママ以外のインド人にも食べてもらおう。
これも日印交流かな。


薄暗がりで作った鯖(?)の味噌煮

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