夏遠からじ

日本はことのほか寒く雪の多い冬だったとか、
コルカタの冬(乾期)も朝晩は例年より寒くフリースのジャケットが大活躍。
風邪のウィルスは寄りつかなかったものの、
点鼻薬とアーユルベーダのサプリはやはり欠かせなかった。
乾燥して埃っぽい汚染空気ゆえの鼻づまりと咳のために。
やわですね、まだまだ。でもやたらと増えたお付き合い事に多忙な日々を
走りまわれるのは元気なしるしか。
“忙”とは“心を亡ぼす”の意、そうなりませんように
楽しみつつ、学びつつ、でいきたいもの。
2月末で日中はすでに30℃を超え、夏遠からじ。

仕切り屋マルシャの誕生日パーティー

スペイン人ボランティア・マルシャは、背が高くて細くてお洒落で、
ニルマル・ヒルダイをこよなく愛すリピーター。
コルカタでのボランティアは10年前からという。
夏を避けて年の半分はコルカタ暮らしだが、
肺炎をこじらせてはよく入院している。
何事もマイペースで仕切っているから
“仕切り屋おばさん”と私だけが呼んでいる。
彼女を苦手とする人もいるが、サパサパしていて私は好きだ。
シスター達に言いにくいことも言ってくれるし、
新しいボランティアへの説明もやってくれるし、頼りになる。
そのマルシャが、自分の誕生日パーティーを仕切る様子を楽しませてもらった。
2/18の夜、会場は彼女が部屋を借りているアパートの庭、
これまでの滞在記録を紹介する写真パネルを飾り、
ライティングや音楽の演出も万全。
会費260ルピーは事前に徴収し、安宿街から来るボランティア仲間のために
バスをチャーターし、鳥インフルのせいで2ヶ月近くご無沙汰だった
チキン料理もビールもどっさり用意して、
極上サリーをまとった彼女は、40人近いゲストにご満悦。
陽気なスペイン人やイタリア人たちは踊りだし、
ワークの時とは違った表情がみえて楽しい。
仕切り屋マルシャが今にいたる過去を、今度ゆっくり話してくれるそうな。
お国柄いろいろ、人生いろいろ、
オフタイムの交わりもなかなかに乙なものである。


シルクのサリーをまとったスペイン人マルシャ 左は韓国人司祭

結婚セレモニーは、気まぐれウォッチングと料理がお目当て

グプタ家と長い付き合いのウメシュ夫妻が、奥さんの妹の結婚式のために、
仕事で滞在中のアメリカから帰ってきた。
何度か出逢っている私も招待され、
キランママとステイ仲間の尚美さんと一緒に出掛けた。
新婦はマスコミ業界でライターをしているとかで、
個性的ないでたちのゲストが多い。
質素ななりの日本人二人は、初めて会う新婦にプレゼントを渡してからは、
セレモニーそっちのけでゲストの観察を楽しむ。
いつもながら思うのは、せっかく豪華なサリーを着けても、
バッグと足元(サンダル)のコーディネーションまで完璧な人は非常に少ないこと。
着物であればかなり気を使うところなのだが、インド人には頓着しない人が多い。
フォーマル目的であれば、皮のバッグではなく、
重厚感のある織り地でサリーに合う美しい色合いのバッグをデザインすれば、
きっとこの市場でヒットすると思うのだが、いかがなものか?

「うわぁー、ピンクと黄緑の色合わせ、That's India 」

「極上シルクでベージュに少しの黒と金、シックでお洒落ですねぇー」

「あの三段腹は迫力満点、家事はメイド任せの奥様でしょうか」

「新郎も新婦もすでに重量級、この先やいかに?」

好き勝手にささやきながら、料理の準備を待つこと1時間。
やっと9時半にビュッフェ卓ヘ、少し期待外れのノンベジ料理を戴いて、
さぁー帰ろう。だって延々続くんですから。


ベンガル州スタイルの結婚セレモニー

22th West Bengal State Handicraft EXPO 08 2/9〜3/2

Kolkata Book Fairがついにドタキャン中止になった。
環境問題で会期直前に会場変更の裁定が下され、
市外に追い出されて中途半端なフェアに終わったのが去年。
今年は又違う場所パークサーカスで設営準備が進んでいたが、
防火設備の不備やらで開催禁止の直前裁定。That's Indiaですな。
それではと、手工芸品のエキスポを初体験。
西ベンガル州は伝統工芸の継承・発展と職人の育成のために
様々な支援制度や報奨制度を設けており、このエキスポも販促施策の一つ。
州の各地から一切の経費なしに参加できる職人たち(約2000人)は、
バイヤーや一般顧客と接することで、自分の作品への反応や好みを確かめ、
新しいデザインヒントも得ることができる訳だ。
1ヶ月近い会期で約2億円の商いとか。
さて、どんなものがあるかというと、テラコッタ(素焼きの塑像)、
金属鋳造のドクラ、ジュート(黄麻)製のバッグや靴、籐家具、竹製品、
民族絵画、刺繍のサリーやショール、バティック(ろうけつ染)、
木工芸、手作りジャム‥‥etc. 貧しい農村部や山岳部の人達にとっては、
暮らしの中で代々受け継いできたひと工夫の技や意匠に磨きをかければ、
都会の人や異国の人に受け容れられて大切な収入源になるという訳。
特に西ベンガル州は、働き者の女性がこの分野で稼ぎ手になっているらしい。
全般的には“素朴”“手間ひまかけた”という形容詞がぴったりで、
“洗練された”あるいは“精緻かつ高度な技”の作品は少ない。
ただし、美術館所蔵の非売品コレクションは
技もデザインも群を抜いて秀逸であった。


素朴な民族楽器エクタラを弾く親子。
太鼓と一弦楽器を合わせたような形

たまにウーンと立ち止まってしまうユニークな創作物や、
おもわず笑いがこぼれる代物(木で作ったネクタイなど)もあって面白い。
とんでもない発想の豊かさもThat's Indiaなのだろう。
廃木の彫刻が並んだ一画では、見飽きず長居してしまった。
タゴールの顔やキリスト像など、デフォルメされた表情が絶妙なのだ。
「どれも独創的で面白い」と褒めちぎると、
サルミラ・グリラと名乗った彫刻家は顔をほころばせて
「どれか欲しいのがあるか、値は考えてあげるから」と。
根っこを髭や髪の毛に見立てた
老人の顔が気に入って尋ねると800ルピー(2400円)。
もう一度、ある施設の子供達を連れてくる約束になっているので、
ひょっとしてその時に交渉して買うかもしれない。
サルミラの写真を撮ろうとすると、
磨き仕上げを黙々としていた職人を立たせて、
「彼も一緒に撮ってやって」と、優しいではないか。


西ベンガル州手工芸品エキスポで見つけた“廃木の彫刻”
髭や髪の毛・眉は木の根っこ

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