笑・プラザ


OKADA'S BACKNUMBER

9月、10月は、スポーツ、文化、観光等々の行事が集中する。
これら華やかな表舞台の裏では、庶民の厳しい現実が見え隠れする。
その一つが病気やけがで、この町の中央病院にも、休日の救急外来を訪れる人が急増する。

ある日曜日、ここに、腰の痛みを必死にこらえて、高齢の女性が救急車で運び込まれた。

ただちに、MRI検査や骨密度など検査が行われた結果、
腰椎の一部が圧迫骨折しており、痛みがここから発していることが判明した。
また、骨粗鬆がかなり進んでいたので、骨が折れやすくなっていたと診断された。

緊急入院で、安静と痛み止め薬、コルセット装着に加えて、
これ以上骨粗鬆が進まぬように、「フォルテオ」注射が毎日行われるようになった。

それから1ヶ月経つと、痛みも和らぎ、
ゆっくりながら洗面、トイレ、若干の歩行ができるまでに回復した。
そんなある日、主治医から、そろそろリハビリ病院に転院してはどうかと持ちかけられ、
早速関係スタッフがあちこちに打診を始めたが、
ここで意外な障害が浮かび上がって来た。
それは、なんと、「フォルテオ」にまつわるものだった。

「フォルテオ」は骨粗鬆治療に素晴らしい薬だが、
とても高価なので、保険を適用すると、治療限度額を超えてしまい、
病院の負担が増すので対応できないという所が多いという事実だった。
それで、転院先はおいそれとは見つからない日々が続いている。

「この世は、やっぱりカネ次第ですね。
貧乏だったら最良の治療なんてとても無理で、辛抱して一生終わるってことになるのよね」


「ウーム。だがね、今に間に合う話じゃないが、骨の研究はずっと進められていると思うよ。
『フォルテオ』以外にもきっと、いい薬が開発されると思うよ。
みんなが幸せになれるようにね。
この病気、必ず治るんだし、少々時間がかかるののを覚悟すればいいだけさ。
最悪、転院先が見つからなくても、リハビリのやり方を教えてもらって家で頑張ろうよ」


「エエ。皆さんも頑張ってるんでしょうしね」

後日談になるが、その半月後に、この老婦人は、運よくリハビリ専門病院に転院できた。
そこは、お金持ちが集まる病院で、入院に当たっては、少しまとまったお金が必要だと告げられた。

老婦人は、自分のために周りが混乱することは避けたいと思って転院した。
自分だけ得するようで、皆さんには申し訳ない。でも病気やケガは異常事態。
異常状態にある自分は、普通の人との距離感が難しい。
ともかく目立たなく引っ込んでいるのが一番だと自分に言い聞かせながら。



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