笑・プラザ


OKADA'S BACKNUMBER

「ちょっと、この店で涼んで行こうか」

「いいね」

「ところで、あんた。二ヶ月前に会った時は、えらく暗い顔してたけど、
今日は随分明るいが、なんかあったんか?」


「いやー、そんなに顔に出ていたのかーーー。
実は、勤務先が貧乏会社で、そこで経理を25年もやってたら、
なんというのかな、一種の精神病に罹って、食欲は無くなるわ、
仕事は集中できないわで、何もかも嫌になっていたんだ」


「エッ!そんなに深刻だったんか」

「家内も心配するし、医者にも相談したが、これという決め手が見つからずじまい。
会社は年休をまとめて取って休んでいたんだ」


「それはえらいこっちゃ。だが、どうして元に戻れたんだ?」

「ウッフッフッフ。こればっかりは秘密にしておきたかったんだが、話さにゃ判らんだろうからーー。
毎日ダラダラの俺を見かねて、家内は、どっかの田舎で、温泉にでも浸かってのんびりしたら、
良くなるんじゃないかって云うんだが、それでも、ウジウジしてたら、
ある日、衣装箱の奥から、分厚い書類を取り出して見せてくれたんだ」


「なんだい?そりゃ」

「それ見て、おれもびっくりしたねぇ。
それはな、証券業界では「るい投」と云われるもので、
毎月決まった金額で投資信託を買うというものさ。
勤め先が貧乏だから、将来、退職金も出ないかもしれないと思って、
毎月、へそくりを貯めては、コツコツと20年も続けていたんだ。
今頃の様に相場が下がった時は、いつもの金額でも多く買えるしな。
ワハハハハハ!
その現在評価額を見て、オレは、自分の目を疑うほどのショックを受けたんだ」


「・?・?・?・?」

「詳しい事は云いにくいが、何千万という額さ」

「どヒャー! なんでそんなに!」

「ハハハハハ。分配金と毎月の投資金が複利のように蓄積すると、こうなるんだな。
時間を味方にしたら、こんないいこともある。
おかげで、このショックで、今までの病気はケロっと治ってしまったんだ。
女房さまさまってとこだね」


「うらやましい! 俺も病気になってみようかな。どこからか福の神が出て来んとも限らん」

「悪い冗談は止せよ。今の時代じゃ、福の神どころか貧乏神が出てくるかもしれんぞ。
お前のところは、子供がしっかりしているから、何の心配も要らんだろうが。
それはとっても有り難いことだよな。
まあ、夏来たりなば、実りの秋も遠からじで、これからも元気にやって行こうや」


「夏来たりなば、明るい明日がやって来るということか。
秋来たりなば、冬来たりなば、春来たりなば、
いつでも明るい明日を期待したらいいんだな。
そうだよな。これからも、元気でちょくちょく会おうや」




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