笑・プラザ


OKADA'S BACKNUMBER
二人は花園保育園の4歳児。
毎日、お天気なら、4歳児が20人ほどの集団で散歩に出かけます。

車を避けて、安全な裏通りを、二人ずつ手をつないで、
ピョコンピョコゾロゾロと歩きます。
トキちゃんとユッカちゃんは、いつも列のべべたです。

路地の途中の家に可愛いワンちゃんがいて、
二人はフェンス越しに話しかけたり、頭を撫でたりするので、
その間に、先頭は20メートルも先の空き地で、
飛んだり跳ねたり休憩したりしています。

列の最後を見守る先生は、この二人をせかしたり、引っ張ったりしません。
動物をかわいがる子供は、大人になっても優しい心の持ち主になると信じているからです。

さて、この路地には、古びた文化住宅があり、
そこには、すっかり背中の丸くなった一人暮らしのおばあちゃんが居ます。

この文化住宅は、おばあちゃんの持家で、以前は6家族が住んでいましたが、
老朽化で出ていく人が増えて、
今では、おばあちゃんの一人住まいになってしまいました。

訪れる人も無く、淋しいおばあちゃんは、
毎日、通りがかる園児と挨拶したり、ふざけて叩き合ったりするのが、
今では生きがいの一つになっています。

今日は、トキちゃんとユッカちゃんは、二人とも、
防寒着のポケットの中で、大切なものを握りしめていました。

そして、いつものように、おばあちゃんがニコニコと出迎えると、
二人は、「おばあちゃん、これあげる」と、揃って小さな手を差し出しました。
トキちゃんのビニール袋には、ツルツルに光る金平糖が、
ユッカちゃんの袋には、カステラが入っていました。
先生が横から、「これ、お年玉だそうですよ」話しかけると、
おばあちゃんは、顔を真っ赤に紅潮させて、
「エーっ!これを頂けるの! ありがと、ありがと」と云うなり、
大粒の涙をポロポロとこぼしました。
涙はいつまでも止まりません。
トキちゃんとユッカちゃんを涙顔でいつまでも見送り、
ほのぼのとした気持ちに包まれながら、おばあちゃんは、心から思っていました。

―― 毎日辛いことがあったって、一年に一回でも、
   生きていてよかったと思える日があればそれで充分 ――。

まちかどの小さな幸せ、それは宝物のような幸せ。
今年は、そんな幸せに恵まれる年でありますように。



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