笑・プラザ


OKADA'S BACKNUMBER
「こんにちは、お久しぶりです」

「まあ、お久しぶりですこと。
わざわざ和歌山からお越し頂くなんて、ほんとに恐縮です」


「いいえね、月に一回ぐらいは遠出して、
体の調子を見ているんですよ」


「それはそれは・・。でも、そんなことお聞きしたら、
とってもうらやましくなりますよ」


「えっ!なんでですか?」

「ハハハ。実の事申し上げますとね、
ここのところ一か月ぐらいは、まったく外に出ていないんです」


「やっぱりそうでしたか・・・。そんな噂をお聞きしましてね、
これは、なにか重い病気に罹られたんじゃないかと心配して、
今日伺ったんです。でも、お元気そうですね」


「えぇ、ありがとうございます。
じゃあホントの事を言いますとね、出たくなくなったのは、
最近少し寝込んだことがあって、そのせいかもしれませんが、
御覧のように、髪の毛が真っ白になってしまって、
鏡を見るたびに、こんな惨めな姿を、
人に見られたくないって思うからなんですよ。
これは、女性だけの特別な気持ちかもしれませんがね」


「それはそうですよね。
でも、私だって相当に白くなっていますよ。染めてもいますよ。
澤野さんも、一流の美容師に来てもらって、
染めるなり何なりなさったらいいじゃありませんか」


「子供達もそう云うんですがね。なんか煩わしい気がしましてね」

「そうですかあ。じゃ、こんな思い切ったアイデアはどうですか。
澤野さんの広いお庭のどこかに、専用の美容室を建てたらどうですか。
とっても明るく、設備も充実した物にして、
美容師さんに喜んで来て頂けるように」


「専用の美容室!それは気が付きませんでした!
面白そうですね、息子夫婦も使うと思いますよ。
ええ、いいアイデアを頂きました。ありがとうございました。
なんか、元気が出て来たようです。ハハハハ」


見舞いを終えて帰る電車の中で、
益美さんは、なぜか沈んだ心で考えていました。

< 澤野さんは、どう云ったって、お金もあるし、
しっかりした子供夫婦に囲まれているから、
今の所で安心して一生を終えることもできるだろう。
だけど、自分には、子どもが無いし、相談相手も他人ばかりだから、
微妙な事を解ってもらえないことが多い。
長年のお付会いで出来たご近所の皆さんとは仲良くして行きたいけど、
やっぱり凄く寂しいなぁ。
父親が大きな財産を残してくれたが、お金では人の真心を買うことはできない。
このままでは、自分の方が引きこもりになってしまうかもしれない。
自分もどうしようかなぁ。やっぱり一番心配なのは病気の事だから、
通院の事も考えて、専用の美容室のように、専用の診療所を作ってしまおうかな。
しかし、これは大げさすぎるし・・・
そうか、実現性を考えれば、
近くの医者や元看護士さんと特別契約して、いつでも来て頂けるようにしようか。
診療器具は、医者の指定でレンタルしてもいいが、
重い病気なら、やっぱり入院することになるだろうけど。
入院には、身元保証人の事もあるし、
帰ったら、仲良しの青柳さんとも相談してみようか >



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