笑・プラザ


OKADA'S BACKNUMBER
とにかく賑やか!
騒々しいぐらいの昼食懇親会。
町会で年1回の催し。
40人ほどの参加者の大半は中高年女性で、
間にパラパラと男シルバーという顔合わせ。

盛り上がり過ぎたのか、
誰かがビールをひっくり返して、全員の目がそこに集中した。
なんとか収まると、防犯委員の馬込さんが、やおら立ち上がった。

馬込さん「みなさん。せっかくのお楽しみ中ですみませんが、
この町会に少し心配なことが出て来ましたので、
ぜひお耳をお貸しください」


「何よ、どうしたっていうの」

馬込さん「実はですね、この町会は、長い間何事も無く安心なところだったんですが、
実は昨日の昼頃、○○さんが、家の近くで、二人乗りバイクの男に、
ハンドバッグをひったくられたんです」


「エエッ! まあ、こわいこと。
怪我なかったんですか、○○さんて誰ですか」


馬込さん「お怪我は無かったようです。ですが、ご本人の希望で、お名前は公表できません」

「そりゃそうでしょうね。それで?」

馬込さん「警察の人は、ひったくり犯が狙うのは、お年寄りや弱そうなご婦人方だから、
こんな方は特に注意するようにとの事でした。
もっとも、ここにいらっしゃるご婦人方は、
まず、大丈夫だとは思いますが・・・」


「何よそれ、私たちは逞しいって言いたいの。
なんなら、猫パンチの一つでもお見舞いするわよ」


ワハハハハハハ

馬込さん「すみません。すみません。
ところで、これからの事ですが、注意するだけではどうも頼りないんで、
何かいい知恵はありませんかねェ」


またも、ガヤガヤムード。
その時、隅っこの方から大きな声があがった。

丘山さん「みなさーん。提案が一つありまーす」

見ると、数少ない男シルバーの一人で、
70歳過ぎても、元気に電気店を経営している丘山さんでした。

津川さん「丘山さん。提案ってなんでしょうか。説明してください」

もう一人の女性防犯委員の津川さんが呼びかけました。
然し,どうもガヤガヤムードの中では、
それが丘山さんにうまく伝わらなかったようです。

丘山さんは耳が遠いのです。
何となく視点の定まらない表情をしています。
見かねて、丘山さんの隣に座っていた三井さんが、丘山さんに耳打ちしました。
三井さんは女性福祉委員で,何かと細やかな気配りのできる人です。

丘山さん「ハイハイ、それはですね、町内のあちこちに
防犯カメラを設置したらどうかと思うんですがね。
防犯カメラは、犯人逮捕に役立つし、犯罪の抑止力もあると思うんですがね」


津川さん「なるほど、町会の積立金も沢山あるし、いいかもしれませんね。
どんなところに何台ぐらい必要ですか」


津川さんの質問が、また、うまく伝わりません。
またまた、三井さんが耳打ちします。

そのあと、いくつかの質問のたんびに、三井さんが中継して、
(津川 質問)→(三井 中継)→(丘山 回答)→(津川 質問)
のくりかえしが続きました。

津川さんも丘山さんも、大きなジェスチャーでやりとりすものですから、
まるで三人漫才を見ているような雰囲気になりました。

「ァハハハハハ。まるで宇宙中継してるようなもんやな」

誰かが大声でつぶやくと、ドーッと会場は割れんばかりの拍手喝采。

「少しタイミングがずれるところなんか、本物の宇宙中継だね」

「やっぱり人間補聴器はいいね」

駄洒落が出るたんびに、爆笑に次ぐ爆笑。

大いに盛り上がったところで、馬込さんが、締めくくりました。

馬込さん「皆さん、とても大切な話を楽しく学ぶことができました。
どうも有り難うございました。
早速、次の役員会で検討してもらって、実施に当たっては、
町内の皆さんの意見も確かめたいと思います。
その節は、また、よろしくお願い申し上げます」


パチパチパチパチパチ

とにかく、町内の皆さんの心の絆は、前よりもっと強くなって、
めでたく宇宙中継も終わりました。



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