笑・プラザ


OKADA'S BACKNUMBER
「このホテルは、モノレール駅のまん前だし、
近くにゃ、結構有名な料亭の“那覇”もあるしで、
おかげさんで、客が多いから、こっちも助かってるよ」


「うん、あそこは、個室を順番に回っては、金屏風を背にして、
民族衣装で固めた踊り子が、沖縄の歌や踊りをを
いくつもやってくれるから、みんな、異国気分で楽しんでるな」


「オレが、このホテルの専属タクシードライバーになるなんて、
夢にも考えたことなんか無かったんだけどな」


「そうだよな、お前は結構幅広く海産物問屋でがんばってたし、
“那覇”の常連客で、羽振りが良かったのにな」


「今までタクシーで送られる身分が、今じゃ送り届ける立場になった・・・」

「そんな深刻な顔するな。バブル弾けたら、みんな苦労してる。
オレだって、長い間観光業者やって来たが、
今じゃ、本土の業者が進出して来て、すっかり下請けになっちまった。
一時は、大阪に行って頑張ろうと思ったのに、
とてもじゃないが、まともな仕事は無かったなあ・・・」


「お前こそ暗い顔してるぞ。これじゃ酒がまずくなるし。元気出そうや」

「ああすまん。とにかく、このままじゃだめだな。どうしたもんかな」

「行き着くところ、沖縄は観光でやって行かなけりゃならんだろうが。
米軍基地まで観光資源になってるぐらいだからな」


「うん、はっきりとは言えんが、あそこの大きなキャンプな、
この間、フェンスの間からじっくり見たら、家族用の宿舎が沢山あって、
フェンスの檻の中で、まるで死んだようにひっそりしている。
今まで、他人事だと思って来たが、これじゃストレスもたまるだろうなって、
妙な同情も感じたぐらいだ。」


「何もかも固まってしまったらいかんよな。
とにかく、二人だけでも、大いに頑張って、
観光客に認められるようにしようや」


「そうだな、オレたちゃ、沖縄の隅から隅まで知り尽くしてるから、
本土の観光業者が知らないような隠れ名所や、
珍しい食べ物なんかをパンフレットにして宣伝して見ようカ。
連れて行くのはお前のタクシーに頼むとして・・・」


「そんなことしたら、すぐに本土の業者に真似されてしまうな」

「だから、ひとつの案としたら、俺達のお客にゃ、
特別パスポートを渡して、これを見せた客には、
何か変ったお土産が付くとか、お前のタクシーは、
少し割安になるとかしたらどうだろうか」


「うーむ、水揚げが減るだろうが・・。やってみるかな。
念のため、いろいろな決まり事も調べるけどな」


「オレの親戚は、海岸べりに大きなガジュマロ園を持ってるし、
そのつてで、いろいろ紹介してくれると思うよ。何とかなりそうだな」


「とにかく、一歩ずつ進めば、何とかなるよな、
このために大きな借金するわけでもなし」


「やろうぜ、そのうち、本土の業者を逆に利用したらいいんだ。
彼らは細かいとこまで手が回らないだろうから。頭下げて頼みにくるかもな」


「愉快、愉快。やろうぜ」



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