笑・プラザ


OKADA'S BACKNUMBER
「うーん、うーん、それっ、アア! ダメ だ」

「あなた、何を もがいているんですか?」

「ああ ダメだ。これが出来なくなって、がっくりしているんだ」

「なーんだ! 両手の背中回しでしょ。そんなの簡単よ。
あれッ? 上の手と下の手が届かない!」


「ワッハッハッハッハ。ごくろうさまでした」

「まあーっ! しばらくこんなことしないうちに、すっかりダメになってしまったわ」

「お互いに、すっかり体が硬くなったってことさ。無理しないほうがいいよ」

「それにしても悲しいわ。顔のしわが深くなったのも、体が硬くなったせいかしら」

「心まで硬くなったらいけないよ。
それより、届かないってことで思い出したんだけど、
聖子が、今月の営業目標に、少し届かないらしいよ」


「ああ、聞いてますよ。入社して、そろそろ一本立ちしなけりゃならない時期に来てますからねェ」

「この間、うちで応援できることがあれば、何でも云ってくれって伝えたんだ」

「あれ、そんなことを」

「うん、そしたら、聖子が厳しい表情で、
親の力を借りて一時しのぎしたって、本物にはなれないから、
どうか、任せてくださいって、きっぱり断られた」


「さすが聖子ね。あの子は、私に似てしっかりしてますから、きっと乗り切りますよ。がんばれー」

「アッハッハッハ。聖子は保育園の時から、声が大きいし、動作もはきはきして、結構辛抱強かったよな」

「そうよね、永い人生では、いつでもどこでも、壁に当たるから、
その向こう側に手が出せればいいのよ。がんばれー 聖子」


「それじゃ、お仏壇の前で、二人で、がんばれー聖子って、エールを送ろう」

「がんばれー聖子 がんばれー聖子」
「がんばれー聖子 がんばれー聖子」

このとき、なぜか二人の目に、うっすらと涙が滲んでいました。
それは、二人が若いとき、貧困のどん底から這い上がった苦労を思い出し、
わが子には、あんな苦労をかけたくないと願う親心から、
自然に滲み出た愛の雫でした。
どこまで行っても、わが子を思う親の心は変ることがありません。



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