笑・プラザ


OKADA'S BACKNUMBER
「来週から、新入社員の導入教育が始まりますが、
今年はどうするかご意見を頂きたいと思います。
それに先立って、すでに会社の基本方針や組織について
話をしていただいた赤木課長さん、
黒田課長さんの感想はどんなものですか」


「私は、一言で云えば、男性がおとなしすぎて、
女性は少しのびのびしているようにも感じましたが・・・」


「私も同感ですね。こちらから質問すりと、大体、先に手を挙げるのは女性です」

「そうですか。
今年はどこの会社でも、そんな感じのようですね。先々少し不安ですね。
実はそういうこともあろうかと思って、
今日はカウンセラーを御願いしている井村先生にも参加していただきました。
できれば、導入教育に去年のマイナーチェンジ程度の変化でなくて、
思い切った変化をつけてみようという思いもありまして、
ラインの発想でない何かを見つけ出せればと考えたのです」


「それはいいですね。先生、御願いします」

「そんなに言われると緊張しますが、まあ、生の意見を申しあげてみたいですね。
結論的に申しあげれば、まず、昨今の激しい就活で、
特に男性社員は、とにかくケチをつけられぬように安全第一で控えめになっています。
自分の存在を表に出したがらないんですね。
女性はちょっと違う考えを持っているかもしれません。
この会社も自分にとって唯一のもというより、他にも別の世界がありそうと考えて、
その分、気持ちが開放されているのかもしれません。
これはこれで先々に、仕事の充実感を持ってもらえるように仕向けなければなりませんが、
今日は、差し迫った課題でお話します」


「どうぞ」

「結論的には、これまでのように実務中心で、
正確に早くという能力を身につけさせるやり方の前に、
生活態度という基軸で、自分に自信をつけさせる事が必要ですね」


「具体的に御願いします」

「はい。やり方は単純明快です。
すなわち、挨拶、食事、お礼の三つで、できるだけ大声を出すんです。
オハヨウゴザイマース。イタダキマース。
ゴチソウサマデシタ。アリガトウゴザイマス」


「ハハハ、大きな声ですね」

「元気よく聞こえますね」

「これなら実行できますね。それでも・・・。
実行には、しっかりした計画が必要です。
来週から始めるには、社内全部に、こんなことが始まるという説明を終えて、
何より、新入社員の参加意欲を引き出さなければなりません。
上司が気合を入れる形では、パワハラと誤解されかねませんからね。
それに、食堂では、まわりが奇異の目で見るかもしれませんので、
それで恥かいて萎縮しないように、しばらくは新入社員テーブルに、
先輩が同席して、一緒に大声を出すようにしてください。
役職者よりも2〜3年先輩がいいでしょう。
この人たちにもこのやり方が浸透する効果が期待できます」


「こりゃいい。なんか社内に活気が出てくるような気がしますね」

「うちの社風にしたら、尚いいですね」

「そうですね。繰り返しますが、日頃の生活態度を変えて、
周りの目がそんなに気にならないようになれば、
彼らも自分のペースで仕事に励むことが出来るでしょう」


「では、1ヶ月やってみましょう。細かなことはこちらでまとめます。
それから、仕事の能力開発は6ヶ月やりますので、
これについては、再度、相談させてください」


今では、この会社の“大声プロジェクト”が一つのアイデンテティになって、
それなりに発展しているようだ。
定年退職した井村先生は、別の小さな会社でもこのやりかたを導入して
“大声先生“と綽名されている。

実は、井村先生自身も、風邪を引いたとか、腰が痛いとか、
体の不調で気が滅入る時には、奥さん相手に大声をかけて、自分を奮い立たせている。



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