笑・プラザ


OKADA'S BACKNUMBER
「リーマンショック、ギリシャショック、ユーロ危機。どれも、えらく迷惑な話だよなあ」

「花屋のお前が、なんでそんなことを口にするんだ?」

「いやな、別に政治のことを言いたいわけじゃないが、
 ユーロ建ての投資信託が値下がりして困ってるわけよ」


「そりゃそうだな。俺だって、いろいろ下がってしまって身動きが出来ん。
 それでも、少しづつ戻しかけてるから、もう少しの辛抱かな。」


「ウーン、ユーロでちょっと思い出したことがある」

「何だい? 景気のいい話か?」

「うちのお客さんでな。3丁目で楽器屋やってる人がいる。
 円高の時に、ピアノやら楽器類を少し安く買えたそうで、儲けが出たって言ってたっけ」


「そんな話なら、別にどうってことないな」

「まあ待てよ、話はこれから。その人はな、テノールの美声の持ち主なんで、
 時々は、店でミニコンサートをやってる。
 そのたんびに、うちで花を買ってくれるんでいいお客さんよ。
 ところがな、ここんとこ回数が減ってきたかから、大丈夫かなって心配してたら、
 最近また増えて来たってわけ」


「何か変わったんか」

「そう。本人に聞いたことを簡単に言えばな、これまでクラシックに偏りすぎてたから、
 お客が減ったのかもしれんと思って調べたらな、お客は、もっと親しみやすくて、
 今日は懐かしい歌に出会えて得したなって思いたいわけよ」


「そりゃそうだろうよ」

「うちの花だって、一本づつ右から左に売ってるだけでは、
 別に面白いことなんかないけどな、今頃は、盛り花の演出を
 お客さんと一緒にやることがぼちぼち増えて来たな。
 百合一本、バラ一本をどこに置くかでガラッと変化が出てくる。
 お客さんの持ってるイメージ以上のピッとした変化で、
 オヤッて思ってもらえるような楽しみ方があるんだ。
 とにかく、マンネリにならんことが絶対必要だよな。
 そこでよ、彼はな、自分流の歌い方を作り出したんだ。
 チャンチャン」


「いいところではぐらかすなよ。なんだそりゃ」

「ワハハハ。それはな、シャンツォーネって言うんだそうな。
 つまりな、シャンソンとカンツォーネの合いの子の歌唱だそうな」


「わからんなあ。具体的に言ってくれ」

「そうだよな。同じ質問したら教えてくれたことを言うとな、シャンソンのうちで、
 生き方を元気づけてくれる日本語の歌詞のものを選んで、歌う時には、カンツォーネ風に、
 力強く、伸びやかに歌うんだそうな。
 シャンソンの歌は、知ってのとおり、語りかけるような、
 嘆くような歌い方をするものが多いだろうが。
 これを、クラシックで鍛えた声で、これの正反対の歌い方で
 強烈に訴えかけるってことだなあ」


「まだわからん。何か曲を言ってくれ」

「待ってました。シャンソンに“おお わが人生”とかいうのがあって、これはな、
 “雨の日も嵐の日も、青空を思って耐えて行こう それが人生”っていう流れの歌詞。
 口で言ったら迫力が無いが、ワーッと盛り上げて、強い余韻を残すように歌うんだそうな。」


「それでわかった。ところで、今日の話の始まりはユーロだったよな。
 彼は、歌で、フランスとイタリーを元気づけてることになるんかな」


「ワッハハハハハ。面白いこと言うな。それはそれとして、
 一度、店のコンサートに付き合って、元気をもらうことにしようか」


「よっしゃ、そうしよう」



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