笑・プラザ ぜいたく


OKADA'S BACKNUMBER
“グオーーガーザーージャーンドドドドーー”

すさまじいとしか言いようのない爆音。
耳を塞いでいても腹をゆすり、足元が振動する。
コンコルド、ジャンボ、F14戦闘機、戦前のプロペラ機などの轟音が次々に轟く中でも、
コンコルドの轟音は倍ぐたい大きい。
これだと、乗客はでっかいミサイルですっ飛んでるような感じで、
命の保障は出来ないといわれても不思議でないような物凄い迫力。
旅客機のコックピットの中だって、100デシベルもの大騒音の中で、
管制官とのやり取りが行なわれているのを聴くと、
いくらヘッドホンを付けているとはいえ、
聞き違いがあったって不思議でないような気さえしてくる。
ここは、空港に隣接した、見学者用体験施設の中にある飛行機の爆音体験ルーム。
物凄いエネルギーのど迫力で、いやでも見学者を興奮させる。
頬を高潮させて、首を振り振り、ヒロちゃん親子が出てきた。

「次ぎーっ、ジャンボの操縦!!」

走り出すヒロちゃんを追って、一家がフライトシミュレーター室に飛び込む。
ちょうど先客が終わって、初期化中の画面が出ている。
ヒロちゃんが正操縦士席に、父親が副操縦士席に座ると、
座席のまわりは計器やスイッチだらけ。
どこをどうしていいのかさっぱりわからず、時々流れるアナウンスを頼りにボタンをいくつか回すと、
グオーンとエンジン音が響き出した。
操縦席の前のガラスに滑走路が写ったら、エンジン音が高くなって、滑走路が後ろに流れ出した。
それっと操縦桿をグイと引っ張ると、滑走路が消えて青空が写る。

「キャーっ! 急上昇したら墜落するーーっ!」

慌てて操縦桿を前に倒すと、海原がぐんぐん迫ってくる。
ヒロちゃんは真剣な表情で操縦桿を右に回し、左に回す。
そのたびに陸地が右に傾き左に傾く。後ろで見ている母親が笑い転げて、

「もう、だめー。酔っぱらったー」

「そんなら着陸しようか」

ヒロちゃんが真剣に操縦桿を押したり捻ったりするたびに陸地が見えたり空が見えたりで、
いまや、どこをどう飛んでいるのかまるで分からない。
突然、画面に滑走路が写り、着陸態勢に入ったらしい。
そのまま無事に誘導路に入った。どうやら時間切れで強制終了したらしい。
緊張が解けた親子は席を離れると、手を振り回して大笑い。

休憩室でケーキを楽しんでいる間も、
ヒロちゃんは「すごいなあ、飛行機の操縦ってあんなに難しいって思わなかったなあ。
大きいし、重たいし、全然思うようにならなかったけど」
と、
しきりに繰り返したところをみると、よほど印象深かったようだ。
ガラス越しに見える離着陸機を眺めながら、父親がふっと考え込んだ。
とにかく、巨大なものには、何千人や何万人の人間の手がかかって、
何年も掛かって出来上がってくることをヒロちゃんが分かってくれたらいいけど、問題はその先だな。
巨大な作業を手伝って、最初から安定した一生を送るかーー。
巨大なものを生み出そうとする一人になって、苦労の割には貧乏のまま終わるかもしれない道を選ぶか。

やっぱり自然体でヒロちゃんの選択に任さなければならないかもしれん。
それまで、いろいろな体験をさせて判断力を養ったり、
チャンスのめぐり合い機会を増やすのが親の役割だろう。
ハハハ。そうだよな。自分だって、まあ、勝手にこの仕事を選んだから誰にも不平は言えんしな。
それでも、これまでにマスコミにも採り上げてもらって、ちょっとだけ認められるようになったのが幸せかな。
ヒロちゃん明るいし、簡単に諦める子でもないから、しっかり頼むよ。
いやなことがあったって、頑張って死ぬまで諦めたらいかん。

気がつくと、ヒロちゃん達は、展望台のデッキに出て、こちらに向かって手を振っている。
よーし、自分も先手先手で頑張って行こう。



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