笑プラザ


♪ じいちゃんはね ほんとは 80すぎてるの
  だけど ひとには 70って いうのよ
  なんでかな じいちゃん ♪

♪ ばあちゃんはね ほんとの としなんかいわないの
  だけど ひとから わかいって いわれて
  うれしいね ばあちゃん ♪


「珠子がずっと歌ってるわね」

「うん、何度も繰り返してるし、どうしたんかな。
 おかげですっかり覚えてしまった。ハハハハ」


「二階に上がって、様子見ましょうか」

「いいや、やめとこうよ。熱心にやってるから邪魔しないようにしたら」

「それにしても、あの子は、あなたの癖を見抜いてるわね」

「ワハハハ。お前だって、若いって言われたいんだろ。
 バレバレだな。アッハハハハ」


外は、やわらかな細かい雨。
春はまだ、どうしようかと迷いながらも静かに静かに近づいている。

歌声が止まりました。続いて、階段をトントンと軽やかに下りてくる音。

「ヒャー! じいちゃんばあちゃん居たの!
 下があんまり静かだから、きっといつもの喫茶店で、
 ホカホカコーヒーでも飲んでるって思ってたのに!」


「うん、なに、お前が熱心に歌ってるもんだから、ついつい聴き惚れてただけ」

「ヒャー! そんなあ! ずるいよオ! よけい恥ずかしいよう」

「そんなことありません。とっても楽しい面白い歌ですよ。
 二人ともすっかり覚えました!
 でも、なんで、急にこんな歌うたったの?
 もともとはサッチャンって、かわいい女の子の歌でしょ」


「ウーン。あのね。この間、音楽の先生がね、みんなもうすぐ6年生になりますから、
 ここで、記念に、自分の歌を作ってみなさいって宿題出されたの。
 ウーン。そんなこと誰も考えたことないから、みんな困ってたらね、
 何かの替え歌でいいって言われて・・・。
 来月までに作ってみてって・・・」


「小学5年生には難しそうだなあ」

「そうよオ。でも、先生がね、慣れないことに頭を使ったら、
 きっと成績だって上がりますよって言われるから、
 そんならやってみようかなってことになったの」


「それにしちゃ、とてもよくできてるじゃないか」

「そうオ。そんなら嬉しいけど、もう何日もかかっちゃった。
 お父さんやお母さんのことを言おうと思ったけど、
 じいちゃんばあちゃんのほうがやりやすかったの」


「すごいなあ。ひょっとして珠子は、音楽の天才かもしれんぞ」

「あなた、何を浮かれてるんですか。いい加減にしなさい」

「ワハハハハ。ともかく、これからいろいろな事を経験して、才能を引っ張り出さないとな」

「じゃあね。わたし、ユキちゃんとこへ行ってみる。
 ユキちゃんは、春が来たの替え歌作るそうよ。どうなったか楽しみ」


「じゃ、気をつけてね」

玄関先から明るい歌声
「♪ジイッジイ バッバ ジイッバッバ すずめの学校の先生は♪」

「あら、まあ。品のない歌ですねえ。あんなの反対よね」

平和で、平和に、平和こその大切なひととき。厳しい冬を乗り切れば、そこに春。




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