笑プラザ


「陳さん。お国のやることはすごいですね」

「おや、なんの事でしょうか?」

「3年前の大地震のことですよ。その復興のやり方ですよ」

「ああ。あれは、多分、近代の歴史に残るようなやりかたかもしれませんね」

「とにかく、沢山の方が犠牲になったすごく大きな場所をそのまま残して、
 記念公園にして、観光名所にもしてしまうというのが、最初でしたね」


「そうですね、災害の跡地をそのままというのは、
 いかにも荒々しくて、痛ましいという感じはしますけど、
 なんか、綺麗にしてしまうよりは、辛いでしょうが、追悼の場所でもあり、
 震災研究の場所としても価値があると思えば、一つの識見でしょうね」


「今じゃ、入場料払ってでも、年間1万人以上が訪れているというじゃありませんか」

「そうですね。国民に受け入れられたんでしょうか。
でも、これだけじゃ被災者の救済になりませんから、そこから20キ
ほど離れた所に、新しい街を作ってるんです。何万人も住めるように
中心の施設づくりから始めて、もう、立派な街になっています。
まだまだ大きくなるでしょうけど」


「ハハハ。とても素晴らしいんですが、その土地を確保するのに、
 住民の強制退去があったんでしょう」


「いやあ、こればかりは、仕方が無いといえば仕方ないですねえ。
追い出しただけではないので、結果的に、みんなが幸せになれたら、
 それでいいんじゃないでしょうかね」


「そこですよ。聞くところによれば、街や周辺の開発に当たっては、
 国家の予算だけでなく、国中の金持ちの自治体や企業にも、責任分担地域を割り当てて、
 かなり自由な発想で開発させたというじゃありませんか。
 これだったら、割り当てられたほうも知恵を絞って、
 お金が出るだけでなく返ってくるような事を考えてやるから、
 とにかく生き生きしてきますよねえ。
 こんな発想は日本では無理ですよ。うらやましい」


「そうかも知れませんね。あるグループは、企業団地を作って、
 割と安い賃金を武器に、大手企業の誘致に成功しているそうです」


「賃金が安いといっても、法外なものは許されないでしょうから、
 これだったら、震災で家も仕事も失った人たちに、職場を提供できるし、
 いいところが多いですね。ウーン、こんな大力でガンガン進めるなんてーー」


「いや、有難うございます。でも、大筋だけ見れば、とてもスカーッとしてますがね、
 成功を長く続けるには、とても細やかな配慮や、カイゼン努力が要るのは当たり前です。
 小力も必要ですよ。いずれにしても、ガンガンやるためには、
 着実な経済成長が必要でしょうけれどね」


「知れば知るほど、日本には欠けている事が多いなあ。
 この国は、いつでも小力の議論から始めるので、いつまでもシネーッとして、
 そのうち、みんなが無責任になるようになってる」


「そんなに、がっかりすることもないでしょうがね。
 今は、とにかく、緊急時は平静な時とは違うんだというように考え方を改めて、
 行動力を高めるように、国の大改革をしなけりゃならんでしょうね。
 世界には、大力が不足しているために、国民のエゴで全体が行き詰まって、
 まわりの国が大迷惑を蒙っているところもありますしね」


「おっしゃるような国は、とにかく、入り組んだ利権の排除や、負担の公平性に、
 国民の理解が得られていないのも大きな原因でしょうけどね」


「とにかく、いい子になって取り繕うような政策は、すぐに破綻しますよね」

――二人は、じーっと顔を見つめ合いながら、何かを探しているようでした――




▲このページのTOPへ