^^♪♪〜〜むーらのちんじゅのかーみさまの〜〜♪♪^^

ひろーく明るい舞台に並んだ120人の幼稚園児が、
日々の親子会話では聴いたこともないような、想定外のキレイなハーモニーで、
それは、もう、一生懸命に歌い上げています。

「うまいのう、いい歌じゃのう。ケン太はどこじゃ?
 どこにおる? 見えるか? あれか?」

「“じいちゃん”、あんまり大声だすなよ。ビデオ撮ってる人に声が入ってまうよ」
「ウム・・・・」


輝幼稚園は、年末になると、町の劇場を借り切って、年少、年中、年長のクラスごとに、
コーラスや器楽演奏の音楽発表会をやるので、いつも千人以上の観客が集まるような、
人気のイベントになっています。

「村祭」の発表が終わりました。子どもたちは最敬礼すると、一列になって
客席に笑顔を振りまき、手を振りながら、ライトの陰に消えて行きます。
“じいちゃん”は、力強い拍手をしながら、首を振り振り、何度も何度もつぶやきます。

「あの子らにゃ、ミ・ナ・イがあるじゃ。ミ・ナ・イにゃ、どんな大人になっとるかのう」
「ウン? “じいちゃん”、なんだって? ミ・ナ・イ?
 ・・・ああ、ミ・ラ・イ(未来)のことか。入れ歯はずしとんのか。
 言いにくかったら、将来って言えよ」

「ヒョウ・ラ・イってか」
「変わらんな」
「ミ・ナ・イのある子たちは宝物じゃ」
 言いながら、“じいちゃん”は、
最後の一人が出口から消えるまで、大きな拍手を送り続けました。

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今日の“じいちゃん”は、えらく喜んでるなあ。
ケン太も、一年ごとに頼もしくなってるし、まあ、順調かな。
それにしても、“じいちゃん”の頭は真っ白だがな。
こんな小さい体で、男手ひとつで、俺のために、ホントによく頑張ってくれたんだなあ。
なんにも恩返しできとらんから、少し申し訳ない気もするし、胸がきゅんとするがな。
これまで、いつも、俺に向かって、「見ないで生きろ」って、ずっと云っとったからなあ。
“後ろは見るな”、“人の欠点は見るな”ってことやったが、
お蔭で、もう、俺の体に染みこんでしまっとる。
それにしても、横の“じいちゃん”、しみじみ眺めたら、意外に貫禄あるな。
おふくろが生きてるうちは、ただの頑固親父の印象やったが、一人になったら、
体は干からびても、なんか、堂々とした岩のような存在感が出てきたのは、なんでかな。
それは、まあ、形見の一人息子の未来のために、苦しいときも、決して後ろを見るなと
自分に鞭打って来たんだろうし、そんな、ど根性のせいかな

ともかく、これからは、俺がケン太の未来に責任を持つ番や。
気張っていかにゃならんな
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「なあ! そうだろ!」 
「エッ! どうしたの! 急に大声出したら、びっくりするじゃないの!」

隣の敏子さんは、きょとんとして、鉄郎さんの顔をみつめました。
鉄郎さんは、ハッとわれに帰ると 「すまん、すまん。考えとったもんで」
「エ! 何を考えてたの?」
「その・・・、ケン太の未来さ」
「なによ、それ」
「ウン、立派な大人になって、立派な仕事ができるように、
 考えてやらにゃならんと思ってね」

「そうよの・・、ケン太の ミ・ナ・イ はおまえにかかっとる。・・頼んだぞ」


それはそれは、元気いっぱいに、小さな子どもたちが根をつめて叩く木琴、
シンバル、小太鼓にドラム、縦笛、先生の力のこもったピアノ・・・。
音が輝くというのは、こんな光景。
みんな、みんな、未来を背負う子どもたち。
みんな、みんな、この子たちを育てた、沢山の家族。
ここにいる、後ろを見て後ずさりなどしない未来家族にも、みんな、みんな幸あれ。

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