父・鴻巣一善の絵

鴻巣 理



渓流に鴛鴦

作者:鴻巣一善
題名:「渓流に鴛鴦(仮題)」
形態:掛け軸(絹本)
画材:
画面:幅 41cm、高さ 120cm
作年:1960年(昭和35年)
目録番号:B21(仮)



私が未だ東京に住んでいた学齢前の頃であった。
ある時父は私を上野動物園に
連れて行ってくれたことがある。

父は水鳥等の居る大きなケージの前に来ると、
鳥達を見て居ろと言って、
やおら三本脚の床几と画板を取り出し
ケージの前に腰をおろし写生を始めた。

私はしばらくは鳥達の生態を眺めていたが、
同じようなものをじっと見ているのが
退屈でならなかった。
それでも、私は幼い頃ひどい人見知りで
外の人に逢うのが怖くて父の周りで
只うろうろしていたのを憶えている。

1960年、父は私の結婚祝いに
鴛鴦の絵を描いて贈ってくれた。
渓流のそばの岩にたたずむ一番の鴛鴦だが、
その姿はあの時動物園で見た鴛鴦と
同じように見えてならない。

もちろん写生は一枚の画用紙に
いろいろな角度から見た鳥の姿や首や羽などの部分を
沢山写し採るのだが、もしその時の写生を
素材にして居るとしたら、この絵は私にとって
非常に因縁の深いものとなる。

掛け軸に仕上げてあるので、
床の間の使えない我が家では殆ど開く機会がないが、
大事にしている絵の一つである。




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