父・鴻巣一善の絵

鴻巣 理



福寿草

「福寿草」



私の幼い頃、父が絵を描いているのを
日常のように見てきた。
しかし、その姿はもう30年以上も
前から見られなくなっている。
長兄が2年前他界し、気が付いたら
父の没後の世代交代は知らぬ間に進んでいた。
ある時は自身の想いを追求するために、
ある時は私達の糧を得るために描かれた沢山の絵は、
過去のものとして次第に
忘れ去られて行くように思えた。
それは自分自身がフェイドアウトして行く寂しさにつながった。
これは意識して周辺の者達の記憶に
残して行く必要があるのではないかと
強く思うようになった。

残す方法はいろいろ思い浮かぶが、
まず父の絵が世の中に
どの位あるのかも知らなかった。
作品は次から次に生まれて来るものだ
と言う感覚のままで過ごして居たから、
それを気にすることも無かった。
今回兄弟達と調べ始めてから、
いくつかの魅力ある作品の存在を知ることができた。
永久保存できる画集のようなものを
作れればと考えているが、兄弟達との相談事になる。

現在作品目録編集の途上であるが、
取り敢えず一部の作品によって
父の名「鴻巣一善」をできるだけ多くの人の
記憶にとどめてもらうことも
大切なことではないかと思うようになった。
それで、比較的気軽に手渡しのできる
絵葉書きセットを、ホットラインさんの協力を得て
作ってみることにしたのである。
この文もその時の要請によるものである。

今後、何回かに亘って寄稿しなければならないようだが、
少しずつ父の描いた絵を紹介するようにしたいと思っている。




鴻巣 一善 略歴
  本名:鴻巣 善蔵(こうのす ぜんぞう)
1892年 福島県大沼郡新鶴村に生まれる
1913年 福島県立会津工業学校卒業
1916年 東京美術学校日本画科卒業 (福井江亭に師事)
1926年 第7回帝展 入選
1927年 第9回帝展 入選
1936年 文展監査展 出展
1947年 第3回日展 入選
1969年 没(77歳)




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